2013年2月4日の日記

地平線まで見通せるくらいだだっ広くて何もないところをワゴンバスで走っていた。今でも人間が獣と命のやり取りをしてそうな僻地で、ワゴンバスが走るのに合わせて砂埃が巻き上がっていた。ワゴンバスの運転席から後ろに、まるで円卓を囲むみたいにして人が乗っていた。俺もそこにいた。ワゴンバスの中心に置かれた木箱(たしか木箱だったはずだ)が開かれるとそこにいた全員が歓声をあげた。喜びに打ち震えているみたいだった。俺の視線は歓喜する人々に向けられていたから、実際に木箱の中見を見たわけではないけれど、誰が教えてくれたわけでもないのにその木箱の中には人骨が入っていて、それが朝青龍の遺骨だとわかった。木箱の大きさはティッシュの箱を二箱並べたくらいでたいしたことなかった。
そのあと急に場面が変わって、小さな女の子が宮殿で演説を始めた。エリザベス女王の孫らしい。その口調がやたら舌足らずなのがおかしくて笑っていたら周囲の大勢――ほとんどがそのまま社交会に出られそうな身なりをしていた――に睨みつけられて怯んだ。それでバツの悪い気持ちで伏し目がちに演説を聴き続けていたらいつのまにか目が覚めて、夢が終わってた。朝の九時だった。

生姜焼きを作った。ご飯に乗せて丼みたいにして食べた。遅めの朝食だった。
昼を過ぎてから街に出た。
映画館で夜の時間のエヴァQのチケットを買ってから本屋に向かう。
店内をザッと見て回って最終的に漫画一冊と小説二冊を購入。
参考書をそろそろ買おうと思っていたのでDUO 3.0を買った。なにひとつ下調べせずに結局一番聞き馴染みがあるという理由だけで選んだ。
文理どちらで受験するかすら決めかねている。なので英語を買うしかなかった。
親としては早く進学してくれさえすればいいのだろうが、リビングの机に載った予備校のダイレクトメールを見る度に心がかき乱される。
親の職種に幻想を抱いてるだけなのかもしれない。手に職をつけるとか安定とか人を使うとか使われるとか考えるたびにわからなくなる。

映画の購入した回になるまで街をうろついていた。なんで毎度こんなに時間が余るのだろうと歩きながらぼんやり考えていた。無計画が街を闊歩する。

昼食になにか食べようと駅周辺の飲食店を何軒か回った。回った店がどこも休憩中だった。
お昼の書き入れ時をすぎると個人経営の店は休憩に入ることもあるのだということに初めて気が回った。

人が働いて回しているのだから当たり前なんだけど、最近までこういうことを意識することがほとんどなかった。誰かに同じ事を言われればそれはそうだと頷きながら訳知り顔で聞きながら相槌を打っただろう。だけどそこに人がいることや客と同じように昼食を摂るのだと本当には理解できてなかった。自分が思っている以上に自分は鈍感だったのだ。ごはんを食べると身体が暖かくなるとか寒いと指がうまく動かせなくなるとかそういうことだ。自分の身体がどういう風に動いているかだってまともに意識していなかった。自分にすら気を配れなかったのだ。

いつ休憩が終わるかわからなかったので今日は松屋で済ませた。チェーン店は躊躇なく味の素を大量に使用していそうなイメージがあって、味の素でお腹を壊す体質なのでそこまで乗り気でもなかった。ポン酢牛めしを食べた。四条貴音さんならなんと面妖なとかいいそうな味だった(そこそこ美味しかった)。いつぞやに食べたなか卯のうどんに比べたらなんでもなかった。舌から感じるサイケデリック・ミュージックだった。
       
時間になったので劇場に足を向ける。二回目のエヴァQ。
以下雑感。

巨神兵
二回目で本筋が予め頭に入っていたので細部に注目していて見ていたら、セットのテレビに絶対に外に出ないでくださいとテロップが出ているのが読み取れて、震災当時のことを思い出した。背筋が冷たくなった。
あとエンドロールにグッスマの社名があるのを見つけて、思わずすわねんどろいど巨神兵発売かとあらぬことが脳裏をよぎる。

エヴァQ。
マリが素敵だった。放映前日にテレビ放映されたパートということで印象深い宇宙空間での初号機回収シーンではあるけど、なにを置いてもまずはマリだ。マリが一人で気持ちよく歌い上げてるのがまるで作品のオープニングを飾っているようで勝手に気分が高揚して涙ぐんでしまう程だった。もうこれだけで「元はとれた」と思ったくらいだ。

以降のシーンは(巨神兵もそうだけど)二度目の視聴ということもあって、ストーリーより細部の方に焦点を合わせて見ていたんだけど、カヲルがシンジに世界を見せるシーンからのアイキャッチの流れは相変わらずよかった。You Can (Not) Redo。「償えない罪はないよ」のあたりはいいこと言うなーって思いながら見てた。
ラストの三人が連れ立って赤い砂漠を歩くシーンは、やり直すことのポジティブさというか、このシーンだけでも新劇場版としてエヴァをやり直す意味があったと断言できるくらい素晴らしいと思った。
アスカから無理やり外に引っ張りだされたシンジの元からS-DATがこぼれ落ちるシーンなんて分かりやすすぎるすぎるほど分かりやすいし、あの三人が歩き出すところにカヲルのセリフが重なって思わず目頭が熱くなる。きっと何度でも見返す。

22時過ぎに帰宅する。CDが届いてた。
Lyman Woodardのライブ盤を聞いたあと風呂に入って、それからベッドに入ってすぐ寝た。


THE LYMAN WOODARD ORGANIZATION / ON YOUR MIND