2013年6月26日の日記

ブログには書いていなかったが、4月のはじめに運転免許をとった。何ヶ月も前に自動車学校を卒業して以来、なかなか重い腰を上げられずにいて、ようやく片付いたときには、ずいぶんとほっとした。免許をとる前後から体の調子が徐々に上向いていたのもあって、それを機に車で出かけることが多くなり、必然的に外で過ごす時間も多くなった。夜はたいてい、外で食べている。住んでいる場所も立ち寄る店もなにひとつ変わっていないけれど、車のフロントガラスを通してみる街並みはこれまでとは違った感覚を与えてくれる。それは見知った街が他人の手で一度そっくりバラバラにされて、もう一度組み直されたような感じに近いかもしれない。それは一見これまでと変りなく存在しているようでいて、細部にハッキリとした齟齬を抱えている。自分にとって、周囲の変化なしに達成された認識の変化は、まるで黒一色のオセロが瞬きする間に一面真っ白に置き換わってしまったような衝撃を与えてくれた。もちろん車の運転がすべてではなく(むしろ割合としては些細なものかもしれない)、いまに至るさまざまな出来事が重なりあって、この感覚の土台が形成されたのだと思う。これが意識的に行えるようになれば、楽しく生きていけるのかもしれない。小さな子供がばた足から泳ぎを学ぶように、一から泳ぎ方を考えていこう。その知識を感覚のフィールドにまで押し上げることができたらいい。風景を鮮やかに切り替える色眼鏡を手にとって、しぶきをあげる流れに飛び乗ってしまいたい。そのときにはきっと、しぶきのひとつひとつが黄金の輝きを放っているだろう。